麹とは最近スーパーなどでも頻繁に見られていて、テレビなどのメディアでも取り上げられることが多くなった麹とは食べ物に使われるくらいにしか思われていないのではないでしょうか。

そもそも麹って何なのでしょうか。

麹の意味や性質、我々にとってどのような枠割を果たしているのか、またその役割によってどのように生活に影響していくのかなどを調べていこうと思います。

麹という言葉だけでなく、麹カビ・麹菌という菌類が存在しており、それが人体にどのように作用しているのか、カビと言われるくらいなので、通常では人体に有害になるのではないだろうか、またはこのカビについては例外にあたるものなのかなどもこの辺りの疑問についても見ていきます。

麹カビとは一体何!?

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麹カビとは「麹菌」や「アスペルギルス」とも呼ばれることがあります。

麹から分離された有用なカビの総称で、一部の地域では有用なカビをすべて麹菌と呼ぶこともあると言われています。

麹カビは自身が持つ酵素によっていろいろなものを分解するため、昔から清酒や醤油の醸造に使用されてきています。

その酵素によって、我々人類の食べ物の発展に大きく影響していきました。

麹菌を使っているのは日本だけであり、麹菌の全遺伝子配列が解明されたことをきっかけに日本では日本醸造協会が、ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)・ショウユコウジカビ(Aspergillus sojae)・黒麹菌(Aspergillus luchuensis)・白麹菌(Aspergillus luchuensis mut. kawachii)を「国菌」として認定しました。

麹カビの学名は?

麹カビの学名はラテン語「Aspergillus」(日本語の発音ではアスペルギルス)と言われています。

その由来になったとされるのは、分生子がカトリックにおいて聖水を振りかける道具アスペルギルムに似ていることから命名されたといわれています。

諸説あり。

麹カビの英語での読み方は?

麹カビの英語での読みは、「Aspergillus oryzae」「Aspergillus」という。

麹カビの種類とは!?

麹カビにもいろいろ種類があります。

黄麹菌(アスペルギルス・オリーゼ)・醤油麹菌(アスペルギルス・ソヤ)・泡盛黒麹菌(アスペルギルス・アワモリ)・紅麹菌(モナカス・アンカ)・白麹菌などがあります。

黄麹菌は、味噌・甘酒・日本酒・酢・みりんなどに使用されていて、ニホンコウジカビとも言われることもあり、見た目が黄色で徐々に緑になっていきます。

日本では古くから使われているコウジカビになります。

白麹菌は、黄麹菌の突然変異種で、白いカビをスーパーでも売られている麹は白麹菌が使われています。

醤油麹菌は、文字通り醤油に使用されています。

泡盛黒麹菌は、泡盛の醸造の際に使われます。沖縄のような温暖な地域では仕込み時に雑菌汚染の防止をしてくれる。

黒麹菌の中には突然変異で白くなるものがあり、それは焼酎の醸造に使われています。

紅麹菌は、着色成分に含まれています。

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麹カビ(麹菌)と麹の違いとは!?

麹カビ(麹菌)が作るのが麹となります。

例えば麹カビを米に繁殖させれば米麹となり、麦に繁殖させれば麦麹となり、大豆に繁殖させれば豆麹となります。

麹は米などに麹カビを繁殖させたことにより、麹カビが体外に分泌した酵素によってでんぷん・たんぱく質・脂質などを分解しやすくすることができます。

麹カビの役割とは何!?

カビと聞けば人体にとって百害あって一利なしと思うところがありますが、麹カビはそうではありません。

麹カビは有益なことをもたらすもので、豊富なアミノ酸や栄養成分を持ち、食材の旨味を引き出すことができる菌なのです。

一部では麹菌を国菌と呼ぶこともあるようです。

麹カビの役割は、ずばり麹をつくることです。

麹をつくるのに欠かせない菌で、この菌を米や麦や大豆に加えて繁殖させてから、それが酵素を含む麹となります。

食材の発酵を行い、発酵食品が作られます。

このように食文化に多大なる影響を与えることになっています。

麹カビの仲間に当たるマイコトキシンというカビ毒を生成するものが存在しており、こちらは食材を腐敗させてしまいます。

つまり麹カビの仲間で人体に有用な働きを持つものは「発酵」させることをもたらし、逆に人体に有害なものは食材を「腐敗」させてしまう働きを持つことで分けられます。

日本酒の麹菌の役割とは!?

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日本酒の製造には、昔から「一に麹、二にモト、三に醪」といわれるように非常に重要な工程の一つとされてきました。

米麹は黄麹菌を蒸した米の表面から中心部へと繁殖させたもので、でんぷん分解酵素・たんぱく質分解酵素・脂肪分解酵素などの酵素の供給源といて用います。

特に重要なのは、でんぷんの分解酵素であるアミラーゼで、米のでんぷんを分解してブドウ糖に変換する働きがあります。

このブドウ糖をされに発酵させてアルコールにまで変換させるのですが、麹菌ではブドウ糖をアルコールに分解できません。

それは酵母の役割です。

要するに、麹菌によって様々な分解酵素を生成し、それによって米のでんぷんをブドウ糖に変化させることです。

麹菌の役割はアルコール発酵させる酵母で分解することのできないでんぷんを分解する酵素を生成することにあります。

麹菌そのものがでんぷんをブドウ糖に変化させるのではありません。

まとめ

麹カビについては、発酵食品などの製造過程で使われており、最近からではなく昔から専門家の間では使われていたことになります。

日本酒で使う麹は、麹をつくる工程で麹カビの繁殖する環境で作業しなくてはならないので、人間にとっては高温多湿の中で過酷な作業をしなければなりません。

菌の培養をするので、そうしないと菌が繁殖せずに滅してしまうためです。

その環境でおよそ48時間かけてつくるので、製麹(麹の精製)には非常に大変な作業となります。

現在では塩麹を使用した料理などがメディアで取り上げられることが多く、自宅で容易に使えるものとなっております。

麹カビ自体は自宅で使われることは非常に少ないと思いますが、清酒や醤油などの発酵食品では当たり前の菌として親しまれていることがわかりました。

今回の調査によって麹カビのように、人体に有害(食材を腐敗させる)にも無害(食材を発酵させる)にもなりうるカビが存在するということをご覧いただけたと思います。